




就職活動に奔走する女子大生、
崩れかけた家族を抱える中年男性、
自らの存在に迷う少女たち…。
すれ違う人々の人生が、一本の電車の遅延をきっかけに静かに交差してゆく本作は、時に残酷で、時に愛おしい人間の姿を描きながら、「他人の人生に思いを馳せること」の意味を問い直す。
社会の騒がしさに埋もれてしまいそうな“声なき声”に、ほんの一瞬でも耳を傾けることができたなら――。
そんな想いを込めた、静かで切実な群像劇。
生越千晴、小野花梨、小出水賢一郎、小野孝弘、姫愛奈ラレイナが演じる他、図らずも皆を繋ぐ男性役で泊帝、壊れかけた家族の母親役でししくら暁子が出演。
脚本は『おじいちゃん、死んじゃったって。』『愛に乱暴』の山﨑佐保子。
監督の映画学校時代の仲間と共に作り上げた本作は、拘束の際にすべてのデータを押収され公開が遅れていたが、拘束前にスタッフへ預けていた動画データを元に、悲願の公開へとこぎつけた。

目の前の誰かの苦しみに、どれだけの人が気づけるだろうか――。
就職面接に向かう朝、女子大生・めぐみは悪夢から目覚める。
夢の中で繰り返されるのは、いじめに苦しんだ妹・奈緒の死の記憶。
寝坊した彼女は、駅でスーツ姿の男にぶつかりながら、発車直前の電車へと滑り込む。
そのわずかな遅延が、病院に向かう中年男性・圭一の運命を変えてしまう。
一方、駅のホームでは、心に深い傷を抱える高校生・ユキと、浪人中の青年・めぐるが奇妙な邂逅を果たす。
誰かの一歩が、別の誰かの未来に波紋のように広がっていく。
それぞれの人生が重なり、すれ違い、時にぶつかりながらも、最後に届くのは、ほんの小さな希望の光。


『めぐる』は特別な出来事を描いた作品ではありません。
誰かの日常の中で、静かに起きている「変化」や「循環」を見つめた映画です。
人は、失ったものや過去に囚われながらも、出会いや時間によって少しずつ前に進んでいく。
その過程はとても小さく、時に見過ごされてしまいますが、確かに「めぐって」います。
映画学校時代の仲間が、制作を快く引き受けてくれて完成しました。
映画館という空間で、この物語が観る人それぞれの記憶や感情と重なり、新しい何かが静かに動き出すきっかけになれば嬉しいです。

1992年11月9日生まれ、島根県出身。
2014年に蓬莱竜太作・演出の公演、演劇引力廣島のオーディションで主演を掴んだことをきっかけに、演劇に興味を持つ。その後、劇団モダンスイマーズの劇団員となり、俳優活動を本格的にスタート。NHK大河ドラマ「麒麟がくる」(20)、イキウメ「奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話」(24)、ほろびて「ドブへ INTO THE DITCH」(25)などに出演。
1998年7月6日生まれ、東京都出身。
2021年、『プリテンダーズ』(熊坂出監督)で長編映画初主演し、2022年、「初恋、ざらり」でテレビドラマ初主演。『ハケンアニメ!』(22/吉野耕平監督)で第46回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。2025年は、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」、『みんな、おしゃべり!』(河合健監督)などに出演した。
1995年3月17日生まれ、宮崎県出身。
デビュー作『ふざけるんじゃねえよ』がバンクーバー国際映画祭をはじめ国内外多数の映画祭で上映される。『水辺の余興』でおおいた自主映画祭にて最優秀男優賞を受賞。映画『シグナル100』『検察側の罪人』『FuGAK3/さらば愛しのeien』『ヨミノヒカリ』、朝ドラ「エール」、舞台では情熱のフラミンゴ、明日のアー、エトエなどに出演。
1967年7月14日生まれ、大分県出身。
大学卒業後、サラリーマンとして生活し、30歳の誕生日を機に俳優になることを決意。会社を辞めようと思ったら会社が潰れた。代表作に『侍タイムスリッパー』の安田淳一監督の長編デビュー作『拳銃と目玉焼』(13)、『シン・ゴジラ』(16/樋口真嗣監督)、『三度目の殺人』(17/是枝裕和監督)等がある。
1980年7月31日生まれ、徳島県出身。
2000年代より主に映画やドラマに出演。『伝染歌』(07/原田眞人監督)、『華魂』(14/佐藤寿保監督)など色々な役を妥協無く演じ分ける。近年は「龍が如く〜Beyond the Game〜」(24/武正晴監督・滝本憲吾監督)、「愛のあとにくるもの」(24/ムン・ヒョンソン監督)などに出演している。
1967年11月30日生まれ、千葉県出身。
劇団健康旗揚げ公演「ホワイトソング」(作・演出/ケラリーノ・サンドロヴィッチ)で初舞台。その後、発見の会、シェイクスピアシアター、渋さ知らズなど、ジャンルを問わずに出演し、舞台「葉衣」では10年間樋口一葉、お初を演じる。映像は『共喰い』「贖罪の奏鳴曲」(共に青山真治監督)「大豆田とわ子と三人の元夫」他に出演。
1996年4月27日生まれ、パラグアイ出身。
4歳半から母元の東京都で育つ。ハーフということで周りからの勧めもあり小学5年生の時に事務所に所属。18歳から2年ほどダンスボーカルユニット・Aitherのメンバーとしてリーダーも務める。20歳からはモデル活動を始め、アパレルのイメージモデルを務めた。

映像作家、チャンプアジア・プロダクション社長。ミャンマー国籍で、日本の永住権を持つ。1984年ヤンゴンに生まれ。父の仕事の都合で来日、茨城県で育つ。日本映画学校(現:日本映画大学)に進学し、卒業制作として在日ミャンマー人の家族を描く『エイン』(2006)を監督。卒業後は、映画の助監督や俳優学校のスタッフとして経験を積む。2021年2月のミャンマーで民衆の抗議デモを取材・撮影中に逮捕。ヤンゴンのインセイン刑務所に収監され、2023年5月3日に解放された。現在は日本とミャンマーで創作活動を行う。

『エイン』の主人公は、家族でミャンマーから移ってきて1年になるアウンメイン。ティンダン監督が、7歳で来日した自身の経験をもとに、「人間関係」、「アイデンティティ」、「家族」をテーマに、「級友」、「家族」、「日本人」全てが敵のように見えていた思春期の少年が、純粋な弟と家出することで成長する姿を描く。
本作は、日本映画学校(現・日本映画大学)の卒業制作作品で、コダック ワールドワイド スチューデント プログラムというコダック株式会社の製作支援活動によってサポートされ、16mmフィルムで撮影。アジアフォーカス・福岡映画祭及び伊参スタジオ映画祭に正式出品され、出演した光石研が2025年の「アナザースカイ」で取り上げた。

僕の名前はアウンメイン13歳。
ミャンマーから日本に越してもう一年経つけど、
正直ここには慣れない。
どうして外国人というだけで変な目で見られるんだろう。
どうして父さんは日本人にペコペコしてまで働くんだろう。
どうして……。
父親と喧嘩した少年は兄想いで弱虫の弟と共に家を飛び出す。
二人が目指すのは遠くミャンマーヘ繋がる広い海だ。

『エイン』は、異なる文化や言語の中で生きる家族の物語です。
6歳で来日して日本で育った僕が感じた経験を通して描いた作品ですが
この映画で描きたかったのは、「外国人の物語」ではなく、
誰もが抱える“居場所を探す気持ち”そのものです。
子どもたちの視点を通して見えてくる世界は、残酷でありながらも、とても正直です。
笑われること、傷つくこと、そしてそれでも誰かと繋がろうとすること。
この映画が、観る人自身の子どもの頃の記憶や、今そばにいる誰かを思い出す時間になればと思っています。
2006年当時、劇場公開のお話もありましたが様々な事情で叶いませんでした。20年の時を経て公開できるこの機会に是非観て頂きたいです。



エインとはミャンマー語で家のこと。この映画のシナリオを書いて監督したモンテインダンは中学生のときから日本にいるミャンマー人である。この映画は日本の中学校に学んでいるミャンマー人の少年の物語であるが、当然、彼自身の日本での経験が盛り込まれているであろう。中学校で主人公の少年をいじめる日本人の少年など、たいへんリアリティがあって、なるほどと思う。主人公が「日本人はどうしてあんなにいばりたがるのだろう」と言うあたりは、なるほどなるほどだ。学生映画がこうして、マスコミには容易に現れない在日のアジアの若者の声を日本人に伝えるルートになるのはたいへんいいことだと思う。
この映画で主人公の少年とその家族の人々を演じているのは在日のミャンマー人たちである。この映画は在日ミャンマー人の声なのだ。そういう役割りを果たせることを日本映画学校は誇りに思う。また少年が通う学校の場面の撮影にはモンティンダンが卒業した学校が全面的に協力して下さった。
日本人の善意を代表している巡査の役を光石研さんが演じて下さった。日本映画学校の実習作品に好意的に協力していただけて有難いと思う。